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2011年7月10日日曜日

第12回口頭弁論の報告(2011年7月7日 七夕の日)

 7月7日午前10時より東京地裁522法廷で開かれました。
今回も大勢の傍聴者が来て下さり、開廷約30分前に、傍聴席(定員42名)が満員となり、最終的には70名~80名の方が来て下さったため、法廷に入れない人が大勢いらっしゃいました。法廷に入れなかった皆様大変申し訳ありませんでした。しかし傍聴席を満員にすることは裁判官の心証にも影響しますので、今回に懲りずに次回もよろしくお願いします。もちろん報告集会には傍聴できなかった人も参加してくださいました。
今回結審し、いよいよ判決日が申し渡されるものと緊張して迎えましたが、なんと前日になって、裁判所より「明日が結審ではなく、もう一回口頭弁論がある予定」との情報がもたらされ、拍子ぬけした面もありますが、最初に予定通り原告元三鷹高校校長土肥信雄氏より下記の意見陳述が行われました。


= 第12回口頭弁論 意見陳述 =

 2年前の2009年(平成21年)6月4日、私は東京都教育委員会(都教委)を提訴しました。今、提訴して本当に良かったと思っています。もし提訴しなければ、現職中の私に対する言論弾圧や非常勤教員不合格について、すべて闇の中に葬り去られるところでした。裁判を通して、とにかく都教委の主張を全部聞けたことは、お互いの主張が全て公になり、どちらが正しいかを判断してもらえる材料が出そろったからです。
 私は大学で学生たちを教えています。言論の自由の問題について、学生たちに「天皇は神様だと思いますか?人間だと思いますか?」という質問をしたところ、「神様だ」と答える学生は皆無でした。しかし戦前においては100%の学生が「神様だ」と答えました。それは、教育の現場で言論の自由がなく、「天皇は神様だ」と教えこまれたからです。このようなことが積み重なった結果として第二次世界大戦という悲惨な結果を迎えたことは、日本国民自身が十分に自覚していると思います。だからこそ「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることの無いようにすることを決意し」、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本理念とした日本国憲法を制定したのです。戦前においても戦争に反対する人は多くいたと思います。しかしそれを発言するためには、命を賭けなければなりませんでした。私は、子ども達に、戦前のような暗黒の社会を再び経験させないためにも、教育の現場において言論の自由だけは絶対に譲ることはできません。発言することに命を賭ける必要のない現代において、「あの時言っておけば良かった」という後悔だけはしたくなかったのです。
一人ひとりの意見を尊重する民主主義にとって、言論の自由は不可欠です。私は、私と100%意見が違っている人でも、その人の言論の自由は100%保障したいと思います。そして自由な発言を通して決まったことについては、自分の意に反していても、それに従うことが民主主義を守るために必要だと思っています。だからこそ私は「法令遵守」を私の信条とし、現職中においても全ての法令は守ってきました。職員会議で教職員の意向を聞く挙手・採決も三鷹高校ではやっていません。卒業式等でも職務命令は出しました。国旗国歌問題についても、校長として不起立者を報告しました。私は民主主義のルールに基づいて、都教委に対して意見表明をしただけです。
都教委は、その民主主義の前提である言論の自由を教育の現場から奪おうとしたため、私は説明を求めて何回も公開討論を要求したのです。しかし都教委は、私の納得する説明もせずに公開討論を拒み続けたため、提訴せざるを得なかったのです。
事実は一つです。裁判の中では、その事実に基づいて、お互いの主張をぶつけ合い、論争ができるとばかり思っていました。しかし都教委はその事実さえも捏造し、私を抹殺しようとしたことが、裁判を通してはっきりと証明されたのです。特に都教委側の証人尋問の証言において、許されないような事実が判明し、これが教育に携わる人間が行う行為かと思うと本当に情けなくなるとともに、このようなことを許してはならないと思いました。特に許せなかったのが下記の4点です。
① 私が米長氏を批判したことを密告され、3回指導を受け、(2006年10月6日、23日、25日)3回目には米長氏が近々三鷹高校に視察に行くことを告げられました。その事実はジャーナリストの池添徳明(いけぞえのりあき)氏の取材ノートに明記されていたのです。しかし都教委は、指導の記録の日付(24日)まで捏造して、指導は2回(6日、24日)であり、米長氏の三鷹高校視察の件は一切指導していないと主張しているのです。
② 20年度、非常勤教員採用選考推薦書兼業績評価書のオール「C」は私一人であったと、当時の人事部選考課長は証言しました。(790人受験中最低の790番目の成績)私の退職にあたって、卒業生から退職の卒業証書をもらい、卒業生全員と保護者から色紙をもらった私が、なぜ最低の成績なのでしょうか。どうしても納得ができません。
③ 20年度、非常勤教員採用選考推薦書業績評価書の作成の過程で、私の教育現場(三鷹高校)での、教育実績については一切評価の対象にしていないと当時の人事部職員課長が証言しました。信じられません。校長を評価する対象は、当然学校現場での教育実績だと思います。三鷹高校で、補習体制を組織し、挨拶を励行させ、中途退学者を減少させ、体罰の禁止を教員に指導した私の教育実績が全く評価されないのは、評価そのものが間違っていると思います
④ 非常勤教員採用選考の面接で、私は面接者の質問に全く正対しない回答をしたので、低い評価となったと面接官の指導主事が証言しました。私は面接の内容が書かれた都教委側の証人の陳述書を読みました。私が読んでも、私が全く質問に正対していない回答が列記されており、私がこのような回答をするわけがないと驚きました。私は常に、質問に正対した回答をするように生徒に教えてきましたし、私自身も質問に正対する回答を心掛けてきました。生徒や保護者の陳述書を読んでいただければ、それはわかると思います。その私がなぜ正対しない回答になったのか。それは質問を捏造し、私の回答を捏造したからです。私の意見と違う回答が随所に書いてありました。
 その他、この裁判で争っている生徒の掲示物問題、業績評価における相対評価の強要、卒業式等における個別的職務命令の強要、定時制発表会の発表者の交代問題等、全ての問題で都教委の主張と私の主張は全く違っています。私も都教委も、学校を活性化し、特色ある学校づくりをして、子どもたちが生き生きとした学校生活が送れるように望んでいるはずです。だからこそ、校長の権限と責任を強化し、校長のリーダーシップを確立させることを文部科学省ですら主張しているのです。しかし都教委はその校長の権限ですら侵害し、都教委による教育支配を意図しているのです。
民主主義国家であり、法治国家である日本の最高法規は日本国憲法であり、日本国憲法第21条には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障する」、また教育基本法第16条には「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われる」と明記されています。私の主張と都教委の主張を十分に吟味、比較して、日本国憲法及び教育基本法の理念に基づく、公正な判断をして下さるようにお願い申し上げます。
2011年(平成23年)7月7日 
        原告 元東京都立三鷹高等学校 校長 土肥信雄

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 土肥氏の意見陳述後、裁判長よりもう一度口頭弁論を開くことが
告げられ、8月25日(木)午前10時、527法廷で開かれることが
決定し、再度土肥氏の意見陳述を行うことも認められ閉廷となりました。


= 裁判報告集会 =

 裁判終了後、弁護士会館で裁判報告集会がもたれました。
最初に吉峯弁護士より、「教育がはたして憲法に依拠して行われているのか。条例や職務命令で、心の問題を強要するような現在の教育の状況は民主主義の危機でもある。その意味で土肥氏の裁判は非常に重要であり、この裁判に関心を持ち、支援することは歴史的にも意味がある。今日もこれだけ大勢の支援者が駆けつけて下さる事に感謝しており、今後とも皆さんの支援をお願いしたい。」との発言がありました。続いて高橋弁護士からは結審が裁判所の都合で延びたことと、判決は年内ぎりぎりか年明けとなる可能性が高いことが報告されました。土肥氏からは「今日で結審すると思っていたので、少し残念だが、8月25日にも意見陳述をさせてくれるので、発言する機会が増えて良かったと前向きに考えていきたい。きっとどっちが勝っても控訴することになり、時間が経てば経つほど、この裁判に関心を持ってくれる人は増えて行き、それだけ都教委は醜態をさらすことになるので私にとって有利になると思っている。」との発言がありました。参加者より「判決の日は記者会見をするのか」、「全国的に署名を集めたらどうか」「外国人記者クラブで記者会見をしたらどうか」等の質問があり、土肥氏は「判決の日には記者会見を必ず行う。」「全国的な署名や外国人記者クラブの記者会見については事務局で検討する。」との回答がありました。
 最後に立正大学の浪本教授が「土肥氏の提起した裁判は、日本の教育界に〈言論の自由〉、ひいては教育の自由が保障され、各学校が本来の教育的使命を達成できるようになるか、あるいは強権的な教育行政によってさらに各学校が委縮していくことになるのか、の大きな岐路に立つ裁判である」と発言して下さり報告会を終了した。

次回最終口頭弁論 8月25日(木)午前10時 527法廷

*この日に恐らく結審となりますので判決日が決定します。
*土肥先生が再度意見陳述(新しい内容)をします。
*傍聴席を満員にして裁判官の心証を良くしたいと思いますのでよろしくお願いします。